雨の日のハンガーにて・・・。2017年04月13日 16:29

松つあん来訪

松つあんが自作管球アンプを持参・・・お手製の木製ケースがとても美しい。細部の木工や、塗装の仕上げも素晴らしい。

アンプの裏側、配線の美。カミサマが松つあんという人に与えた才能を思わずにいられない。世の中の99.9%くらいの人は、コレを見てもナントモ思わないのだろうケド。僕は、松つあんがこの作業を開始して、この配線が完成するまでの「時間」に想いを馳せてしまう・・・・

松つあんが持ってきてくれた、ほうじ茶とどら焼きで、試聴。

フィラメントが赤く揺れる・・・

ソースはアップル・ロスレス、PlayerはFoober2000。曲目はバッハ無伴奏チェロ組曲、弾き手はミーシャ・マイスキー。

自作オーディオ・ラックに入れてみた。ラックスマンのプリ部から信号を引き出し、メイン部をスルーして管球アンプに入力している。

外は雨。

菜種梅雨、というのだろうか。
寒の戻り、というのだろうか。
ひと雨毎に春の兆しを感じる、静かな週末・・・。


「人間の耳は、10KHz以上、聴こえる。オーディオアンプも電気的性能としては10KHz以上、出力できる。だから10kHzのアンプを作りました。測定器でも、測ってみました・・・」などと言うが。そういうもんでもなかろう。

 本来、高い音は、動物たる人間にとって、危険が迫ったり緊急事態が生じた時の音ではないのだろうか。基本的に、高い音は生理的に受け付けにくい、あまりキモチ良くない音域なのだと思う。

 歪率3%のこのアンプの奏でるバッハ無伴奏チェロの、なんという芳醇で饒舌なことだろう。そこに、電気的特性は要らない。

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松つあんはさらに手持ちの送信管「807」や、3極管の名球「2A3」で作ってみたいアンプがたくさんあるらしい。高校生の頃から手元に集めてきた真空管達に「活躍の場」を与えたいな・・・などとつぶやきながら、松つあんは、この自作管球アンプを当ハンガーに置いたまま、帰ってしまった。

昔から良いなあ、欲しいなあ、作ってみたいなあ、聴いてみたいなあ、と思っていた管球アンプ。

 こんなふうに、買うでもなく借りるでもなく、フトした成り行きで、「当面、どうぞご自由に使って聴いてみて下さい・・・」という経過。
 その時、私の胸中に去来したものは、自分の人生も、いよいよそこまで押し迫ってきたのだな、57歳という年齢は、そういうことなんだな、という、妙な納得・・・。

そこはかとない哀切感が漂う、雨の日のハンガー。

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番外編。スペアナ基板のケース製作作業。友人からもらった電動糸鋸で。

ヤスリ作業。あまり丁寧にやってもキリが無い。