憲法9条の立法事実、「零戦」と「特攻」2018年12月06日 12:08

松つあんのいない、はじめての耐空検査とフライト。
25B、今期の運行開始。松つあんに託された機体だから、整備して飛ばすのは僕の義務。できるところまで。この先、いつまで続くのか・・・。

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耐空検査のテストフライトを終えて、着陸した。
我が25Bをマジマジと眺める。その刹那、私の胸に去来したものは、憲法9条であった。

結論から言うと、憲法9条成立の核となる立法事実をただひとつだけ挙げよ、と言われたなら、その答えは返答不可、である。どうしても、2つ、になってしまう。

それは「零戦」と「特攻」である。このふたつこそが、憲法9条の立法事実の核に他ならない。

このことに気が付いている日本人は、もしかしたら法律家であり、かつヒコーキ乗りであるワシ一人かも知れんけど。

まず立法事実とは何か。
全ての法律に立法事実がある。立法事実のない法律は、ない。

A この道この先、左コーナーで下り坂、事故が頻発
 年間事故××件発生、死亡者〇〇名(←立法事実)
B ほんじゃ、ここは30km/h制限にしよう(←法律の誕生)

「Aという事実→Bという法律」 こういう関係である。

では、憲法第9条の立法事実とは何か?

9条とは「武器」保有禁止と交「戦」権の否認である。
日本人が反省して、自らこれを決意した、なんて「笑い話」もあるが・・・。
歴史を学び直せ、と言いたい。

「戦争」とは、フェナミノンだけを観察するならば、「武器」で人を殺すことである。
先の大戦における「武器」の主役と言えば、言うまでも無く、戦闘機、ヒコーキである。
不沈艦と言われた戦艦大和も、アメリカ戦闘機の攻撃の前に、なすすべもなかった。これは事実である。

そして、日本の戦闘機と言えば零式艦上戦闘機である。

零戦とは、何だ?

我が25Bの主桁は、先の大戦から70年を経てなお「木造」である。
しかるに零戦は70年前にすでにセミモノコック仕様で主翼構造部に「超々ジュラルミン」を使用という、とんでもない先進性だ(欧米戦闘機では未使用)。

外皮も我が25Bはブヨブヨの「羽布」であるが、零戦は70年も昔に、ジュラルミンなのである。

我が25Bは木製固定ピッチペラだが、零戦は70年も前にハミルトン金属製/定速ペラを採用しているのである。

我が25Bは4気筒1700CC/65馬力、機速120km/hでフラフラと空を飛ぶが、零戦は70年以上も前に、「栄」複列14気筒1000馬力、最高速500km/h以上、巡航で3000kmの航続を誇る、というトンでもない、超高性能。

実際に零戦の機首部分を間近で見上げると、「異様」「偉容」そのものだ。

我が25Bは日本に1機しかないが、零戦は1万機製造された。

1万機、である。

この戦闘機が1万機、並んでいる光景を、想像したことがありますか?
>学者、法律家のミナサマ。

・・・スサマジイ、のひとことである。

これがどんなにスサマジイことか。
ほとんどの人にはピンとこないのではないか?とも思うが。
ピンとくるピンと来ないは、センサーの問題だから。
ピンと来ない人は、永遠にピンと来ないのかも知れない。

例え話はムツカシイが・・・
現代で言えば、JAXAの宇宙技術+原発のハンドリング能力+スーパーコンピュータ技術+ナノ技術+・・・ノーベル賞級の技術者が叡智を結集して創り上げた戦闘機。それが当時の零戦である。

某宗教が、某教祖様のもと、某最先端化学殺人薬物を都心のど真ん中で散布した、・・・という事実を100倍くらいに拡大したとして、それについて、どのように感じるか。そのおぞましさというか、恐怖というか。ありえないことが目のまえに出現している、そのあり得ない存在が、自分の命に直結する。そのことがわかったときの、驚愕。

話を戻す。

こんなスサマジイ戦闘機を作る日本人に、2度と武器を持たせてはならない。

これが憲法9条の立法事実の核の、ひとつである。

日本がポツダム宣言を受け入れて降伏した。
アメリカを中心として、大戦後の日本をどうするか、を「有識者」の連中が議論した。日本をどうするか、は要するに日本の憲法をどうするか、という議論である。

その議論をする「有識者」連中の頭に中にあったこと。共通認識。

意見ではなく、事実の認識。
意見・評価と事実、は峻別せねばならない。
意見は人によって異なるが、事実は誰にとってもひとつである。争いようがない。

先の大戦で、日本人が何を作り、何をどうしてきたか。その事実である。
日本人とは、欧米にとってどういう民族であったのか?これは評価・意見である。

それこそが憲法(9条の)立法事実。

このスサマジイ超高性能の零戦に、400kgの爆装をして、米軍艦戦に決死の体当たり攻撃を仕掛けてきた。これが憲法9条の立法事実の核、その2である。

この「神風特攻隊」がキリスト的博愛主義をバックボーンとする欧米人の精神性、価値観からは全く理解できないことは言うまでもない。
 理解できないからこその、アコガレ、尊崇の念があるかも知れない。だから欧米人はいつまで経っても、日本人は「サムライ、ハラキリ、カミカゼ」(ゲイシャ、フジヤマ・・・と続く)だ。片山右京さんがF1で活躍すればカミカゼドライバーと呼ばれるし、葛西選手がW杯で大ジャンプを飛べばカミカゼジャンパーと揶揄される。

欧米人もさかんにアジア搾取をしてきたワケだから、日本も同じくそれをやりたかったんだろ、というところまでは欧米人も理解しただろう。だが、どうしても受け入れられなかったのが零戦という超高性能の兵器の存在と、それを創り上げてしまう日本という民族の技術力、先進性。そして400kg爆弾爆装の特攻攻撃である。

「特攻」のバックグラウンドは言うまでもなく神社神道を背景とする皇国史観だったわけだが、GHQは深慮遠謀の末、天皇制は象徴性として残し、神社神道は「神道指令」で潰そうとした。合理的といえば合理的である。

日本人に対する畏敬と恐れ、理解不能、絶望。これこそが憲法9条の立法事実である。

だから、山中先生がiPSでノーベル賞を受賞する度に。
日本が高度な原子力ハンドリング技術を持っていることや、福島原発の爆発。
JAXAが卓越した宇宙開発技術を保有しICBMに匹敵する大型ロケットH2Bの打ち上げに成功する度に。
日本が有数のプルトニウム保有国であること。

そんな「事実」を想起するたびに、欧米人のココロの中には「零戦と特攻」の亡霊が蘇り、背筋に悪寒が走る。

こう言ったことを考えれば、日本人が我が憲法を、とりわけ9条を、どうしたらいいのかは、自明のことと思える。

200年後、300年後の我が祖国と、民族の子孫のために・・・。

私は、私の後に続く若き法曹諸君に、こんな言葉を贈りたい。

いくら本を読んでも、法律や条文を「お勉強」しても、わからない。
法律は、条文は、結果だ。表現だ。ひとつの産物に過ぎない。
結果や産物だけを見ても、何も理解できないのである。
その法律を法律たらしめているものは、何だ?
その「事実群」を見ることだ。
その事実「群」の中から、一番核心となる事実。
それを見つける。
そして本質を自分の頭で考えることだ。
感じられないとしても、感じようとすることだ。想像することだ。

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私の思考はここで止まった。
日没である。
我が25B、「松つあん号」を係留して、機体カバーをかけねばならない。
明日のフライトのために・・・

松つあん、今年も25Bで、僕は飛びます。

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自作機体カバー、容積が嵩んで運ぶのが大変。

今期、最後のご奉公。カウルのお色直し。

ダイブの点検、忘れてた。稼働状態と割ピンの確認、グリスアップ。

ハンガーアウト、機体の移動。

組立。

各種地上計測後、耐空検査テストフライト。さんちゃん同乗、空中でも失速速度の計測、計器類の作動確認ナドナド。やることが山積み。

穏やかな冬の気流よ・・・

気流よ・・・お前はどこへ流れていく?

尾翼まで2重化した自作カバー。この先10年を考えて。

日没。そして係留。

番外編。
いつもの廻る寿司。若造整備士2名をご接待。

55YMで富山にフライトしたM田シャチョーから「鱒寿司」をいただく。
ごっちゃんでした。大変に美味でした。

小職と同い年の長屋教官。Uコンのスゴ技にぶっ飛ぶ。いや~凄かった。感動した!!!

タマラン。

コメント

_ Yuka ― 2018年12月06日 18:00

「誉」ではなく「栄」です。

_ HANGAR W3&25B ― 2018年12月06日 18:09

イケね。ボケかました。直しておきました。

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