木と布と鉄と・・・ドイツ/クラフトマン魂に触れる2014年11月05日 13:09

「その作業は、相当に難しいと思いますよ・・・」
M田師匠のそんなつぶやきから始まった、今回の作業。当初は楽観視していたのだが・・・。

シート床板が40年の時を経て、この状態。これをコピーして新造する。

まずは考えること。M田師匠からいろいろな示唆をいただいたが、自分の技術力では実現不能。手間暇かかっても自分でできる方法を考案した。
工場の秘密材料庫から、航空ベニヤを板取りするところから開始。

オリジナルシート板のクリーンアップ。正確な型取りのために必須。

型取り作業

型取り後、板取り。

プライするもう1枚の板を型取り。エアクラフト・プライウッド=航空ベニヤ

固定ネジ部分をホルソーでくりぬく

全体をサンディング

エポキシワーク、貼り合わせ作業&FRPパッチで戦闘状態。

貼り合わせ、成型、硬化完了。

仮固定、ネジ穴位置の修正

ドイツのドープは高価につき、コメリのクリヤラッカーを3回塗り

完成。

(その他)
年に1回、オイル交換の時にだけ、お目見えできるリンバッハ1700、オイルパン周りのパーツの皆様・・・。

高度計、ラジヲをインストール、配管&配線を完了。


 
       「木と布と鉄と・・・ドイツクラフトマン魂に触れる」

同じく敗戦国でありながら、そして、同じく戦後しばらくは航空産業禁止の憂き目に遭いながら、ドイツでは、その禁止が解けた直後からこんな機体を作り始めていたんだ。戦後の日本が、躍起になって経済成長を追っかけている合間に・・・。
 FRPはまだ一般でなく、エンジンも非力。それでも空を飛びたい、となれば、設計の要は軽量化。そして使える材料は木と布と鉄(鋼管)。

 シート下の鋼管はRがついたアーチ状だ。このアーチ状のシートレール鋼管に沿わせる形でシート板を取り付ければ、薄い(つまり軽量な)ペナペナのベニヤ板でもにわかにその強度を増し、十分に大柄なドイツ人の体重を支えられるようになる。その上、Rをつけた鋼管は直線で組むより短くて済むから、一石二鳥の軽量化。

なぜシート下の鋼管の配置はアーチ状なのだろう?。いつも不思議に思っていた。
 たかだかシート板1枚の製作ではあるが、今回のこの作業を通して、ドイツクラフトマンシップの神髄に少しだけ触れたような心持ちがした。
 同時に「相当に難しいと思いますよ・・・」という師匠の言葉を噛みしめた丸3日間+5時間の作業だった。


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作業の間中、ずっと頭の中に流れていた曲

Just thanking the Lord
僕は心から神に感謝した
For my fingers,
神が僕に、この指を与え給いしことを
For my fingers
僕のこの指に

  
 ( 「ダンカンの詩」 by Paul Simon)

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